鑑賞用陶磁◆日本
古九谷青手花鳥図平鉢

江戸時代 17世紀
径34.4cm

古九谷様式が生まれた寛永年間(1624−1644年)前後は徳川幕府を中心とする、武家の溢れんばかりのエネルギーを注いだ文化が興りました。
深く重厚な色彩で、太く力強い描線のスケールの大きな男性的、大胆なデザインを描いています。この皿は万華鏡を見るような斬新なデザインの濃い緑地の中に、三方に窓をもうけ、中に牡丹や鳥(牡丹は富貴を意味する花、鳥は吉祥を告げる瑞鳥と思われます)を描いている青手と呼ばれる皿ですが、窓絵に白磁の余白を残して皿を引き立てています。近年、有田産という説もありますが、日本で最初に出来た色絵磁器であり、形式にとらわれず、(古九谷の大皿は一枚として同じデザインのものはありません)見るものを圧倒する大胆なバロック的な意匠こそ、古九谷様式の醍醐味として尊重されています。


姫谷色絵山水図皿

江戸時代 17世紀後半
高6.2cm 径30.1cm

広島県福山市姫谷の地で寛文年間(1660−1672年)において、伊万里焼を学んだ白磁の焼成を行う窯が開かれました。いわゆる姫谷焼きであります。幻の窯として知られるこの窯は、近年の発掘でいろいろな磁器や陶器を焼いていたことが判明しましたが、遺品は極めて少なく、特に白磁胎の上に絵付した色絵磁器は、愛陶家の垂涎(すいぜん)の的となっています。現在残る色絵磁器は大半が七寸前後の中皿ですが、一尺を測る色絵の大皿は、今日知られている最も大作の優良な姫谷焼としてそのもつ意味合いは甚だ大きと言えます。17世紀後半に伊万里焼で盛んに焼造されたいわゆる芙蓉手をモデルにしており、本来周囲の区割りされた文様体は蓮弁を表し、また中央には中国原案とは全く異なる一幅の山水画が描かれています。その黒を縁取る絵模様の描写もまさに一連の姫谷焼の色絵磁器と共通したものがあります。

色絵紅葉流水文皿

鍋島 江戸時代中期
径:20.2p

大名の贈答用品であった鍋島焼の傑作であります。
龍田川と称する和歌(古今集:在原業平朝臣作)に着想を得た文様で、水流と岩を染ダミで表現し紅葉が緑・黄・赤の上絵で配置よく踊っています。秋の情景を美しく表現した作品であります。
裏文様は、七宝結文,高台には櫛目文をあらわしています。  

色絵狛犬

伊万里・柿右衛門様式 江戸時代 17世紀後半
高12.5cm 径16.0cm

何ともかわいい狛犬です。型で製作されている類品は少なくありませんが、これほど魅力的な狛犬は少ないと思われます。こうした阿吽(あうん)一対の狛犬をヨーロッパ人たちはさらに金属で装飾し、豪華な貴族の部屋を飾ったのです。作品は元禄年間に近い1680年代でしょう。

色絵金襴手赤玉雲龍文鉢

伊万里・古伊万里様式 江戸時代 17−18世紀
高10.8cm 径25.9cm

元禄時代になると伊万里焼は、金襴手を完成させて大転換を遂げました。その金彩華やかな金襴手を代表する名作として赤玉雲龍の鉢は、不動の評価を与えられています。遺品は多くはありませんが、おそらくこの作に最高峰の評価を与えられてしかるべきでしょう。となれば伊万里金蘭手の代表作と言えるでしょう。中国景徳鎮の作った金襴手を踏まえながら豊かなデザイン感覚は、すっかり独創のものとなり、華やかさを好む元禄時代の町人の間で高い評価を集めたのであります。

色絵花卉文壷

伊万里・柿右衛門様式 江戸時代 17世紀後半
高16.1cm 径14.5cm

1660年代に始まった柿右衛門様式の色絵磁器は、ヨーロッパの王侯貴族を中心に大反響を呼び起こし、順調な発展を遂げることになります。初期の作品は、絵具もたっぷりと使い余白も少なく充実した意匠を展開しました。この作品、はその初期的な充実した意匠性を見せるとともに、絵具はやや薄くなり、赤が際立つという対照を見せています。製作時期が1670年代後半であることをしのばせる作品です。椿にとまる尾長鶏のデザインは、気品の中にも濃厚な力強さというものを示しています。

鑑賞用陶磁◆中国
鑑賞用陶磁◆朝鮮
茶       入
茶       碗
水       指
花       入
香       合
向       付
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