鑑賞用陶磁◆朝鮮
青磁鉄絵草文梅瓶

高麗時代 13−14世紀
高26.2cm 胴径16.6cm

青磁の釉薬の下に鉄絵具で絵模様を描く技法はおそらく中国磁州窯に学んで始められたと推測される、高麗時代13世紀のできごとでした。しかし高麗青磁の陶工は、磁州窯とは趣の異なるのどかで素朴な植物を描いて独特のひなびた味わいを表しました。この作品も青磁鉄絵の静かな味わいがよく示されています。窯の中で還元焔という炎で焼くべきところを酸素が入り込み、釉が黄ばんでしまうのも高麗青磁の一つです。また微妙な表情づけともなっています。


青磁象嵌蒲柳文水注

高麗時代 13世紀後半
高18.0cm 径19.0cm

朝鮮半島で青磁が焼き始められるのは、10世紀高麗時代の初期のことです。やがて12世紀になると白土、黒土、赤土を器の一部に象嵌し青磁釉をかける象嵌青磁が始まります。こまやかな描写力を持って手本となる中国陶磁とは風情の全く異なる瀟洒(しょうしゃ)な作風を作り上げました。この水注もその赤土の象嵌で黒い絵模様を楚々と表現する一例で、作風から見て13世紀後半の作でしょう。蒲柳(ほりゅう)すなわち蒲(がま)や柳は、象嵌青磁の最もポピュラーなモチーフでありました。


辰砂葡萄文壷

李氏朝鮮時代後期 18世紀
高21.0cm 径25.0cm

白磁は李王朝時代の官窯の代表作でありましたが、17.18世紀になると民窯も手懸け、独特のひなびた趣きの鉄砂・辰砂の絵付を加えて、今日高い評価を得ています。なかでも酸化銅を絵具に使い、釉下に文様を描いて、強力な還元焔で焼成した辰砂(中国では釉裏紅とよぶ)は、この遺品も少なく心にしみる渋い紅色を呈して、とくに人気は高いようです。この壷は、李朝後期独特の俗にいう提灯壷の形をなし、釉の青みは深さをまして沈着な下地をつくり、いかにも朴訥な描法の葡萄図は、嫋々とした気分を醸し出しています。その紅色も適度で好感がもたれます。焼造した窯は不祥です。


粉引花入

李氏朝鮮時代 16世紀
高29.0cm 胴径15.0cm

粉引の徳利(今は花入に利用)としては珍しく大作であり、雨漏もほど良くあらわれた趣き深い美作です。粉引とは、鼠色の陶胎に白化粧をずぶ掛けして、透明釉をかけたもので、白化粧の段階で素焼きしておき、施釉して本焼することがほとんどです。その透明釉は、かつて青磁釉であった釉が透明化したもので、やや清らかな青みを含むのが特徴で、日本人からこのさわやかな風韻が殊のほか高く評価されています。この作は形も颯爽として整い、渋い雨漏の景が陰影をもたらし、まことに適度の深みをもった秀作となっています。


鑑賞用陶磁◆中国
鑑賞用陶磁◆日本
茶       入
茶       碗
水       指
花       入
香       合
向       付
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